リネン・消耗品・立替えの精算

清掃に使う「モノ」の負担をあいまいにしておくと、毎月の精算でもめます。4つの問いに答える形で条を作ります。

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「リネン代込み」の意味が、リネンの購入費か洗濯代かで食い違うことがあります。

このページの要点

  • リネンを誰が用意し、洗濯をどこでして、その費用を基本料金に含むかを決める。
  • 消耗品の在庫の管理と補充の要否の判断は依頼主の役割とし、清掃会社は不足のおそれを報告する。
  • 購入代行の手数料と物品代を分け、立て替えた分は領収書を付けて翌月に請求する(民法650条1項)。
  • 汚れたリネンの弁償は、品目ごとの定額を依頼主に請求すると決めておく。

「モノ」の負担は、4つの問いで決める

リネン、アメニティ、洗剤、ゴミ袋、電球。清掃に使う「モノ」の負担を契約書であいまいにしておくと、毎月の精算でもめます。事務所の書類では、次の4つの問いに答える形で条を作っています。

  1. 誰が用意するか(依頼主・清掃会社・レンタルの業者・物件の所有者)
  2. 洗濯はどこでするか、その費用は基本料金に含むか
  3. 補充の判断と在庫の管理は誰がするか
  4. 清掃会社が立て替えたら、手数料と実費をどう請求するか

リネン:通常の洗濯は基本料金に含めた例

清掃業務委託契約 第◯条(リネン)

1リネンは甲が用意する。甲乙協議のうえ乙が調達するときは、実費で精算する。

2リネンの洗濯及び乾燥は、施設に洗濯機及び乾燥機があるときはこれを使用し、ないときはコインランドリーを使用する。通常の洗濯及び乾燥の費用は、業務委託料に含む。

3作業時間内に乾燥が終わらないときは、乙は、料金表のランドリー対応料金(ランドリー代と人件費の相当額を含む)を請求できる。

4リネンの経年劣化、しみ、破れその他洗濯で回復できない状態について、乙は責任を負わない。乙は、これを見つけたときは甲に報告する。

家主不在型の民泊の清掃を受ける契約で置いた条です。

事務所の改訂例 リネンの洗濯の費用

洗濯代の扱い

改訂前リネン(洗濯・乾燥代込み)は実費で精算し、実費にコインランドリー代を含め、依頼主は重ねてコインランドリー代を負担しない。(相手方提示の原案を修正した版)
改訂後同じ清掃会社の別の契約では、ヒヤリングで「通常の洗濯・乾燥は基本料金に含む」と確認し、作業時間内に終わらない場合だけ定額の追加料金とする設計にしました(依頼者の回答による)。

実費の精算は、毎回の領収書の管理と請求の手間がかかります。通常の範囲は基本料金に含め、例外だけを追加料金にする方が、双方の手間が減ります。

消耗品・備品:依頼主の負担、在庫の判断も依頼主

家主不在型の民泊の契約では、アメニティ・洗剤・ゴミ袋などの消耗品と、備え付けの備品は、依頼主が費用を負担するとしました。どちらが用意するかはその都度連絡ツールで確かめ、清掃会社が用意したときは立て替えて翌月に請求します。店舗に出向いて購入を代行したときは、購入代行の手数料(1店舗あたりの定額)を請求でき、物品代は別に実費で精算します。在庫が足りなくなりそうなときは報告しますが、在庫の管理と補充の要否の判断は依頼主の役割と書きました。

ヒヤリングで確かめたこと 購入代行の手数料

  1. 同意書にある「購入代行手数料」は、手数料だけで、商品代は別に実費ですか。手数料と商品代を分けて書き、二重取りと取りこぼしの両方を防ぎます。
  2. 在庫の管理と補充の指示は、誰がしますか。補充しなかったことでゲストから苦情が来たときに、責任が清掃会社に向かわないようにします。

清掃会社が発注者として個人事業主に委託する契約では、依頼者の回答で「消耗品・備品は物件のオーナーが負担し、発注者・受注者のどちらも関係しない」と分かったため、消耗品の条を「物件の所有者又は運営者が提供し、当事者は調達・費用の負担の義務を負わない」の一文に簡素化しました(前提事実の変更)。あわせて、依頼主が確保する「清掃に必要な設備」と、所有者が提供する「備品」の範囲が重ならないよう、設備を確保する義務の条から備品を除くかっこ書きを置いています(業務範囲)。

補充のリストと、汚れたリネンの弁償

新設の清掃会社の料金表の考え方(一般化)

作業扱い補足
バスタオル・フェイスタオル(定員分)○基本料金に含む
バスマット(1施設1枚まで)○基本料金に含む。超える分は追加料金
補充できる消耗品(詰め替えの作業費込み)△品目ごとの料金表
落ちないしみ(時間が経った血液・汚物、染料、香辛料、酸化したワインなど)・損傷・紛失のあったリネン△品目ごとの定額の弁償費用を依頼主に請求

汚れたリネンの弁償を誰に請求するかを決めておかないと、清掃会社が泣き寝入りすることになります。ゲストに起因する費用の請求先の考え方はゲストが汚した場合の費用で解説しています。

立て替えた実費の精算

準委任の清掃の契約では、清掃会社が業務に必要な費用を支出したときは、その費用の償還を請求できます(民法650条1項)。費用がかかるときは前払いを求めることもできます(同法649条)。ただし、法律の原則だけでは、いつ・どの書類で請求するかが決まらないので、契約で「翌月の請求書に含める」「領収書を添付する」などの手順を定めます。

運営代行の契約を施設側からレビューした案件では、運営代行側の実費は事前の書面の承諾がある場合に限り施設側が負担し、領収書を添付して請求する、夜間などで承諾が得られないときの少額の支出はみなし承諾、という設計でした。清掃会社が運営代行の下で動く場合は、同じ水準の精算のルールを求められる可能性があります(再委託と多層構造)。

資材の値上がりを料金に反映する

ホテル清掃の契約の改訂では、清掃資材・リネン・洗剤その他の材料費と光熱費の著しい変動を、料金の改定を申し入れられる事由に入れました(料金の改定)。モノの負担を清掃会社が持つ契約ほど、価格の変動の条が重要になります。

スタッフに指定の洗剤や用具を買わせる運用をしている清掃会社は、相手が個人の事業者なら、正当な理由なく自分が指定する物を強制して買わせることが禁止される場合がある点にも注意します(フリーランス法5条1項5号)。

リネンは「用意・洗濯の場所・料金」を分けて聞く

家主不在型の民泊の清掃を受ける契約のヒヤリングでは、リネンについて、①誰が用意するか(依頼主/清掃会社が用意して実費で請求/レンタルの業者)、②どこで洗濯するか(現地の洗濯機/コインランドリー/業者)、③通常の洗濯・乾燥は基本料金に含まれるか、を三つに分けて尋ね、「過去の契約は実費の精算(コインランドリー代を含む)でした」と比較を示しました。

依頼者の同意書には「洗濯・乾燥が作業時間内に終わらない場合に一律の追加料金」とあったため、通常の分は基本料金に含むという理解でよいかも確認しています。同意書の一文から、書かれていない原則(通常の分の扱い)を読み取って確かめた例です。ここを決めておかないと、コインランドリー代が基本料金に含まれるのか実費なのかで、毎月の請求のたびにもめることになります。

立替金・買い出し・緊急対応費を分けて請求する

同じ契約のヒヤリングでは、緊急対応費について、同意書の一律の金額ではなく、別紙の内容(物の破損の対応は幅のある金額+業者の請求分、電球の交換などは物品代+作業費、深夜の対応は1名あたりの定額)で統一することになりました。幅のある金額は、事前に内訳と見積額を示して承認(連絡ツールによるものを含む)を得て確定し、被害の拡大を防ぐための緊急のときは事後の報告でよい(追加料金の緊急時のルールを準用)としています。

そのうえで、修理・交換などを業者に頼み、その費用を清掃会社が立て替えたときは、緊急対応費とは別に実費で請求する、緊急対応費には修理費・交換費・特別清掃費を含まない、としました。料金表でも「業者への依頼に係る費用=業者の請求額(立替時は実費)」を独立の行にしています。立替金と作業の対価を混ぜておくと、修理業者への支払を立て替えたのに「緊急対応費に含まれているはず」と言われかねません。

依頼主に代わって消耗品を買いに行く作業の料金は、資料ごとに付け方が違います。

買い出しの料金の付け方(事務所の資料から)
資料付け方
新設の清掃会社のサービス紹介資料「買い出し対応」は作業費(定額から)+実費。清掃の工程の外の対応は時間単位の料金
宿泊施設の運営会社が示した原案の修正版業務委託料に含まれない特別な費用は、すべて事前の承認制

店舗の単位で手数料を取る家主不在型の民泊の契約と並べると、店舗・時間・回のどれを単位にするかで、同じ買い出しでも請求の根拠が変わります。店舗を何軒回ったか、何分かかったかで争いにならないよう、単位を決めておくことが要点です。店舗の単位なら回った店の数、時間の単位ならかかった時間、回の単位なら買い出しの回数が、請求書に書く根拠になります。新設の清掃会社の消耗品の補充リストには電球・電池も入っていて、電球の交換を「軽微な作業」として業務に含めた本文(業務範囲)と、物品代の請求(料金表)が対応しています。家主不在型の民泊の契約では、使い捨ての調理用品は使った後に廃棄・交換し、交換に追加の清掃料は生じないが、その代金は消耗品として依頼主の負担としました。

料金表の行と、物件ごとの精算

新しく清掃の会社を立ち上げる依頼者のサービス紹介資料では、基本料金の表に、広さの区分ごとの規定の収容人数・リネンの数・トイレの数・洗面台の数・浴室の数・キッチンの数を並べ、基本料金に含まれるリネン・タオルの数を明示して、超える分は1つ追加するごとの追加料金としていました。ロフト・階段、エレベーターのない上層階も追加料金の項目に入れています。作業量に影響する要素を、すべて料金表の行として持つ設計です。家主不在型の民泊の契約で、対象施設の規模・定員・水回りの数などを別紙に書き込み、料金の改定の協議の比較の基準にしたのと同じ発想です。

モノの負担では、設備と備品の境目にも注意します。清掃会社が発注者として個人事業主に委託する契約で、発注者が確保する「清掃に必要な設備」から所有者が提供する「備品」を除く括弧書きを置いたのは、たとえば掃除機が壊れていたときに、誰が代わりを用意するのかが決まらない事態を避けるためです。

運営代行の契約(施設側からの依頼)の改訂では、実費の上限額・対象の費目・精算の期限・支払の方法を別紙の精算基準書で定め、施設の側が負担する実費は当該施設の業務に限って使い、他の施設や用途に転用しない、という条が置かれました。複数の依頼主の物件を回る清掃会社が、ある物件のために買った消耗品を別の物件で使うと、どちらに請求するか分からなくなります。この条はその裏返しで、清掃会社の側でも物件ごとに購入と精算を分けておく必要があります。

リネン交換だけの依頼と、開業前のセットアップ

新しく清掃の会社を立ち上げる依頼者のサービス紹介資料(利用申込書の別紙)には、チェックアウト後の通常清掃とは別に、「新規物件・中間清掃への対応」という料金の区分がありました。リネンに関わる作業が清掃と切り離して頼まれる場面を、あらかじめ料金表の行にしておく作りです。

新規物件・中間清掃の料金の付け方(一般化)
作業料金の付け方
開業前の物件のセットアップのみ(清掃なし)基本料金の半分
セットアップと通常清掃基本料金
ゲストの滞在中の通常清掃基本料金
ゲストの滞在中のリネン交換のみ基本料金の半分
ゲストの滞在中の部分清掃基本料金の半分
ゲストの滞在中のゴミの回収のみ出張費+ゴミ代

リネン交換だけを頼まれたときに、通常清掃の料金を請求するのか、無償の「ついで」として扱われるのかは、料金表に行がないと決まりません。同じ依頼者のスタッフとの契約の単価表でも、「中間対応」を「ゲスト滞在中の各種対応(リネン交換のみ又は部分清掃)」と定義して一つの区分にしており、依頼主に請求する作業とスタッフに支払う作業が同じ切り方になっています(スタッフの側の単価の決め方は清掃スタッフとの業務委託で紹介しています)。

リネンは「1セット」と「1枚」を分け、弁償は品目ごとに

同じ資料の追加料金の表は、「リネン1セット追加ごと」の行と、デュベ・フラット・ピロー・バスタオル・フェイスタオル・バスマットを1つずつ追加する行を分けていました。落ちないしみ・損傷・紛失のときの弁償の表は、デュベカバー(布団カバー)、フラットシーツ、ピローカバー(枕カバー)、バスタオル、フェイスタオル、バスマットの品目ごとに金額を置いています。セットで足したのか1枚だけ足したのか、どの品目を弁償の対象にしたのかが、請求書の上で品目の名前で確かめられる作りです。

補充のリストは「詰め替え」と「本体」、数える単位まで書く

同じ資料の消耗品の補充リスト(詰め替えの作業費を含む)は、シャンプー・コンディショナー・ボディソープ・ハンドソープを「詰め替えのみ」とし、洗濯用洗剤は「ボトル」と「詰め替え」を別の行にしていました。トイレットペーパーとキッチンペーパーは1個、箱ティッシュは1箱、ゴミ袋は10枚入りを単位とし、電池は単4・単3と単2・単1で行を分け、歯ブラシとスリッパも入っています。単位まで書いておくと、補充した数と請求の数を照らし合わせられます。清掃の範囲の表では「各種消耗品の補充・詰め替え、報告」が対応する作業(○)とされ、補充した品物はこのリストの単価(詰め替えの作業費を含む)で請求する、という組合せです。

よくあるご質問

リネンの洗濯代は、清掃料金に含めるべきですか?

通常の洗濯・乾燥は基本料金に含め、作業時間内に乾燥が終わらないなどの例外だけを定額の追加料金にする方法があります。実費の精算にする場合は、コインランドリー代と人件費の扱いを書き分けます。

アメニティの補充は、清掃会社の仕事ですか?

契約しだいです。補充を業務に含める場合も、在庫の管理と補充の要否の判断は依頼主の役割とし、清掃会社は不足のおそれを報告する、と書いておくと、補充漏れの責任を負わされにくくなります。

立て替えた消耗品の代金は、どうやって請求すればよいですか?

法律上も業務に必要な費用は請求できますが(民法650条1項)、契約で「翌月の請求書に含める」「領収書を添付する」、購入代行の手数料と物品代を分ける、などの手順を決めておきます。

汚れて使えなくなったシーツの弁償は、誰に請求できますか?

契約で、品目ごとの定額の弁償費用を依頼主に請求すると決めておきます。依頼主がゲストから回収できたかどうかにかかわらず依頼主が払う、とする書き方が、取りはぐれを防ぎます。

洗剤や資材が値上がりしたら、料金に反映できますか?

料金の改定の条に、材料費・光熱費の著しい変動を申入れの事由として入れ、正当な理由なく協議を拒否しない旨を書いておくと、交渉の根拠になります。

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本ページは一般的な情報提供です。届出・登録・許可の運用は、所管の行政機関や自治体によって異なることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきた民泊・宿泊施設の清掃業務委託契約書、清掃スタッフとの業務委託契約書、利用申込書、ハウスクリーニングの利用規約などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月15日)。参考: e-Gov法令検索 / 民泊制度ポータルサイト(観光庁) / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)

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