依頼の受け方とキャンセル・入室できなかったとき

民泊清掃は、前のゲストのチェックアウトから次のゲストのチェックインまでの限られた時間で終わらせる仕事です。

トップページ › 依頼の受け方とキャンセル・入室できなかったとき
ゲストが居座っていて入室できず、出張しただけで報酬がない。この場面は、契約に一文あるかどうかで結果が変わります。

このページの要点

  • 依頼のときに、チェックアウト・チェックインの時刻や宿泊人数など業務量に関わる事項を特定してもらう。
  • 依頼主が清掃の時間を確保する義務と、間に合わないおそれが生じたときの連絡と協議の手順を書く。
  • 清掃会社の責めによらない入室不能は、到着後の実施不能として料金を請求できると定める。
  • 代わりの人の手配の義務は、自社の責めによる場合に限るか努力義務にとどめる。

チェックイン時刻という動かせない制約

民泊清掃は、前のゲストのチェックアウトから次のゲストのチェックインまでの限られた時間で終わらせる仕事です。清掃会社にとっての契約上の論点は、①依頼をいつまでに、どの方法で受けるか、②受けるかどうかを自由に決められるか、③完了の期限を誰が決め、間に合わないときどうするか、④直前のキャンセルや入室できなかったときに料金をもらえるか、の4つです。

依頼と、受けるかどうかの回答

事務所の改訂例 依頼への回答の期限

回答の期限

改訂前予約が入った時点で依頼主が個別業務の有無を連絡し、清掃会社は連絡から数時間以内に諾否を回答、原則として受託に努め、前日以降の追加の依頼も原則として受託して自社で対応する。(相手方提示の原案)
改訂後同じ清掃会社が受託者となった別の契約では、依頼主は、対象物件、実施日、チェックアウトの時刻、次のチェックインの時刻、宿泊人数、補助者の有無など、業務量を把握するのに必要な事項をできる限り特定して連絡すること、清掃会社の回答の期限は連絡から一定時間以内で、夜間に受けた連絡は翌日の昼までの回答で足りることとしました。直前の依頼は「原則として受託するよう努める」努力義務にとどめ、依頼後の変更・追加は改めて諾否を回答できることも書いています。

深夜の予約や突発の予約を考えると、数時間の回答期限は厳しすぎます。受託者側のレビューでは、24時間程度が現実的と指摘しました。

清掃会社が発注者として個人事業主に委託する案件では、共有のカレンダーアプリで予約の状況を共有し、受注者の側から清掃が必要な日程を通知できる運用(依頼者の回答による)を条文にしました。あわせて、受注者は受託するかどうかを自由に決められ、受託しないことを理由に不利益な取扱いを受けない、と書いています。発注を断れない運用は、受注者が労働者と評価される方向に働くからです(清掃スタッフとの業務委託)。新しく清掃の会社を立ち上げる案件のスタッフとの契約でも、業務管理のツールで個別に発注し、スタッフは期限までに可否を回答し、回答がなければ発注を撤回して他に依頼でき、その場合の損害は負わない、としました。

完了の期限と、チェックインの時刻

清掃業務委託契約 第◯条(実施日及び完了期限)

1個別業務の実施日及び完了期限は、甲乙協議のうえ定める。

2甲は、乙が清掃に必要な時間を確保できるよう配慮し、次の宿泊者のチェックインの時刻を前項の完了期限より前に設定してはならない。

3乙は、乙の責めに帰すべき事由によらずに完了期限までに業務を終えられないおそれが生じたときは、直ちにその事由と見込みを甲に連絡し、甲乙協議する。

4宿泊者の在室、残置物、設備の不具合その他乙の責めに帰すべき事由によらずに入室できないときは、乙は直ちに甲に連絡して指示を求める。業務を実施できなかったときは、到着後の実施不能の場合のキャンセル料の定めを準用する。

家主不在型の民泊の清掃を受ける契約で置いた条です。依頼主が清掃の時間を確保する義務を書いておくと、チェックインの時刻を早められて間に合わなかった、という場面で責任を問われにくくなります。

新しく清掃の会社を立ち上げる依頼者のサービス紹介資料では、1つの班で複数の物件を回るため、チェックアウトからチェックインまで最低限の時間を空けてもらうこと、交通の事情で遅れるときは早めに完了の予定時刻を伝えること、夕方以降の対応は可否を含めて別に相談、としていました。利用申込書はこれを別紙として引用し、本文が優先する条を置いています。

受けた後に行けなくなったとき:代わりの人の手配

事務所の改訂例 代替要員の手配

受託後の遂行困難

改訂前受託後は清掃会社の責めに帰すべき事由で中止・放棄してはならず、やむを得ず遂行が困難なときは清掃会社の費用と責任で代替要員の手配その他同等の品質の代替措置を講じる。(相手方提示の原案)
改訂後同じ依頼者の別の契約では、依頼者が過去の契約の内容の踏襲を希望したため、この構成は残しました。その代わり、清掃会社の責めによらない入室不能・実施不能(宿泊者の在室、鍵の暗証番号の未通知、電気・水道の不具合など)は依頼主の負担(全額支払)とする条と、依頼主が作業の時間と環境を確保する義務の条を置き、代替要員の負担が問題になる場面を絞りました。

スタッフの不足・急病・交通のトラブルでも、費用を負担して代わりの人を確保する義務は重い負担です。受託者側のレビューでは「清掃会社の責めに帰すべき事由による場合に限る」などの制限が通常だと指摘しました。

清掃会社が発注者となる契約では、受注者に対しては、代わりの人の手配は「措置を講ずるよう努める」努力義務とし、受注者の責めによらない事由で完了しなかったときは、すでにした作業の割合に応じた報酬を請求できる、としました。なお民法は、委任者の責めに帰することができない事由で履行できなくなったときや、委任が中途で終了したときに、既にした履行の割合に応じた報酬の請求を認めています(民法648条3項)。欠勤の連絡は原則として数日前まで、当日の欠勤は早朝の一定の時刻までに連絡する、という依頼者の見本の契約の定めも踏襲しています。

キャンセルと日程の変更

キャンセル料の設計の比較(事務所の資料から)
資料無償の期限期限後日程の変更不可抗力など
相手方提示の原案(ある宿泊施設の運営会社)記載なし前日は一定割合・当日は全額――
同じ案件の修正版実施予定日の数日前まで無償2日前〜前日は一定割合、当日は全額1回まで無償、2回目以降はキャンセル扱い天災、交通機関の運休・遅延、予約サイトのシステム障害・予約の取消処理、行政の要請などは協議で免除・減額できる
家主不在型の民泊の契約前日まで無償(依頼者の回答)当日のキャンセル・日程の変更、到着後に依頼主の側の事由で実施できない場合は全額(シーズンの加算込み)期限内の変更は1回まで無償同上
新設の清掃会社のサービス紹介資料前日・前々日は無償当日(0時以降)は基本料金の全額――

受託者側のレビューでは、民泊清掃は直前のキャンセルが多いのでキャンセル料の条は非常に重要であり、前日・当日の段階の設定は清掃業界の標準に近い、と評価しています。予約サイトの側で予約が取り消された場合のように、依頼主にとっても予想外の事情は、免除・減額を協議できる事由に入れておくと、関係を壊さずに済みます。

なお、民泊のオーナーや運営会社との契約は通常は事業者どうしの契約なので、消費者契約法のキャンセル料の規律(平均的な損害を超える部分の無効)は直接はかかりません。一般の家庭を相手にするハウスクリーニングでは、この規律がかかります(ハウスクリーニングの利用規約)。

入室できなかった原因が鍵の暗証番号の変更の通知漏れにある場合の扱いは、鍵・キーボックスのページで解説しています。

連絡の手段は、ツールの名前ではなく定義で書く

新しく清掃の会社を立ち上げる依頼者のサービス紹介資料では、依頼は原則として共有の表計算シート(予約管理システムとの連携も相談可)で前日の一定時刻までが基本、それ以降は相談、事前の連絡のない依頼は受け付けない、としていました。利用申込書とスタッフとの契約では、依頼者のコメントを受けて、契約書から特定のツールの名前(業務管理ツールの名称や表計算サービスの名称)を削り、「甲が指定する情報伝達手段」と定義する形にしました。ツールを変えるたびに契約を直さなくて済むようにするためです。アプリの名前を契約書に書いたままだと、ツールを替えた後に「契約上の連絡方法ではない」と争われるおそれがあります。

清掃会社が発注者として個人事業主に委託する契約では、最初の版は「発注者が清掃の必要が生じた時点で連絡ツールで依頼する」だけでした。ヒヤリングで実際の運用が分かったため、共有のカレンダーアプリを連絡ツールの定義に加え、①双方が予約の状況を共有する、②受注者は清掃が必要な日程を把握したら通知できる、③発注者は必要が生じた時点で依頼する、という三段の条にしています。予約の状況を共有していないと、清掃会社の側が直前まで清掃日を知らない、ということが起きるからです。

家主不在型の民泊の清掃を受ける契約では、前日以降の直前の依頼の扱いを「原則として受託/可能な範囲で受託(努力義務)/受託の義務を負わない」の三択で確認し、回答に基づいて努力義務としました。日程の変更を期限内でも1回に限って無償とし、2回目以降はキャンセルとして扱うのは、日程の変更を繰り返されると、実質的にキャンセルと同じようにスタッフの予定が空くためです。

新しく清掃の会社を立ち上げる依頼者のサービス紹介資料では、清掃日・時間外の人員の手配は相談のうえ特別対応費とする、と定めていました。利用申込書はこの資料を別紙として取り込み、キャンセル料、繁忙期・マンスリーの料金、追加料金、特別対応費はすべて別紙による、と一括で引用しています。別紙の側の料金の作り方は料金・追加料金のページで紹介しています。

途中で終わった回と、清掃が止まったときの精算

清掃会社が発注者として個人事業主に委託する契約の、設計の要点の一つです。出来高制の回が、受注者の責めによらない事由(ゲストの居座り、設備の故障など)で途中までしかできなかったとき、報酬がゼロなのか全額なのかが決まっていないと争いになります。時給制の回は到着から中断までの時間で算定できますが、出来高制の回には割合による報酬の定めが要ります。説明書ではこの違いを示し、出来高制の回は既に行った作業の内容・程度に応じた業務委託料を請求でき、金額は協議で定める、という項を置きました。

ホテル清掃の契約の改訂では、不可抗力で業務の全部又は一部の遂行が不能・著しく困難になったときは協議して中止でき、中止期間に対応する委託料は発生しないが、既に履行した業務と、中止のためにやむを得ず生じた費用は協議して精算する、としました。台風や感染症で清掃が止まったときに、どこまで請求できるかの線引きになります。

契約全体の終わり方:予告期間とその数え方

新しく清掃の会社を立ち上げる案件では、依頼者の希望どおり、スタッフとの契約と利用申込書のどちらも、1か月前までの書面の予告で中途解除できる、としました。建物管理の協力会社の契約のレビューでは、フリーランス法が6か月以上の継続的業務委託の解除・不更新に「少なくとも30日前」の予告を求めているのに対し(同法16条1項、同法施行令3条)、「1か月前」は暦で数えるため、2月に通知すると28日又は29日になり、30日を下回ることがある、と指摘しました。清掃会社が特定業務委託事業者に当たり、スタッフが特定受託事業者に当たる関係なら、スタッフとの契約でも同じ数え方の問題が生じ得ます。その場合は「30日前」又は「1か月前と30日前のいずれか遅い日」と書く方法があります。

事務所の改訂例 ホテル清掃の解約と更新

更新拒絶の期限と解除

改訂前更新を拒絶できる期限が、満了の日から長めにさかのぼって設定されている。(相手方提示の原案)
改訂後中途解約は「やむを得ない事由」がある場合に3か月前の書面の予告で将来に向かって解約できる、更新拒絶は満了の2か月前まで、としました。無催告解除の事由は双方向にし、清掃会社の側は「正当な理由なく業務の遂行を中止したとき」、依頼主の側は「正当な理由なく委託料の支払を一定月数分以上遅滞したとき」と、それぞれの典型的な重大違反を並べました。

受託者側のレビューでは、原案のままでは人件費が高騰して採算が合わなくなっても、期限を過ぎると1年間同じ条件で続くことになる、と指摘しました。

よくあるご質問

清掃の依頼は、どの方法・いつまでに受けるのがよいですか?

連絡ツールや共有のカレンダーなど記録が残る方法で、前日の一定時刻までを基本にするのが一般的です。依頼のときに、チェックアウト・チェックインの時刻、宿泊人数など業務量に関わる事項を特定してもらう条を置きます。

ゲストのチェックアウトが遅れて清掃が間に合わなかったら、責任を負いますか?

清掃会社の責めによらない遅れなら、責任を負わない書き方にできます。依頼主が清掃の時間を確保する義務と、間に合わないおそれが生じたら連絡して協議する手順を契約に書いておきます。

当日キャンセルのキャンセル料は、どのくらいに設定できますか?

事業者どうしの契約では、当日は全額とする例が多くあります。天災や予約サイトの取消しなど、依頼主にも予想外の事情は、免除・減額を協議できる事由にしておくと受け入れられやすくなります。

現地に着いたら入れなかった場合、料金を請求できますか?

宿泊者の在室や暗証番号の未通知など、清掃会社の責めによらない事由で実施できなかったときは、到着後の実施不能として全額を請求できる、と契約で定めておけば請求できます。

スタッフが急病で行けないとき、代わりの人を手配する義務はありますか?

契約しだいです。受託者としては、代わりの人の手配は自社の責めによる場合に限る、又は努力義務にとどめる方が安全です。相手方の原案が全面的な手配の義務になっていないか確認します。

あわせて読みたい、関連する別のガイド

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。届出・登録・許可の運用は、所管の行政機関や自治体によって異なることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきた民泊・宿泊施設の清掃業務委託契約書、清掃スタッフとの業務委託契約書、利用申込書、ハウスクリーニングの利用規約などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月15日)。参考: e-Gov法令検索 / 民泊制度ポータルサイト(観光庁) / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)

民泊清掃・ハウスクリーニングの契約書でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

公式LINEで無料相談する
アトラス行政書士法人 公式LINEの友だち追加QRコード
  1. 公式LINEを友だち追加
  2. 「民泊清掃・ハウスクリーニングの契約書ガイドを見た」とメッセージを送信
  3. ご相談内容を確認し、LINEでご返信します(24時間・土日祝対応)

相談無料です。料金が発生するのは、お申込みいただいた書類の作成・点検だけです。

LINEで友だち追加して無料相談する

ご依頼・納品の流れを見る