独立支援(卒業型)の契約書:フランチャイズか業務委託か

清掃会社が、独立したい人に立ち上げを支援し、一定期間のあとに独り立ちしてもらう仕組みでは、最初に「何の契約か」を決めることが出発点になります。

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契約の名前を業務委託にしても、ブランドの使用や手順書への服従や対価の支払が加盟の形なら、評価は変わりません。

このページの要点

  • フランチャイズかどうかは、商標・商号の使用許諾、営業の統制や指導、対価の支払の実態で見られる。呼称は問われない。
  • 初期の支援費を粗利の分配で後払いにするなら、粗利の定義(売上から引く項目、キャンセル・値引き・未回収の扱い)が中心になる。
  • 成果を保証しない条項を置いても、事前に見せる収益の例は、根拠のある事実と前提の明示が必要。
  • 支援の義務の程度、「独り立ちできる」の判定の基準、終了後の競業禁止の範囲と違約金(民法420条)を、条文で決めておく。

独立支援(卒業型)の契約は、最初に「何の契約か」を決める

清掃会社が、これから独立して清掃の仕事を始めたい人に、立ち上げの支援をします。一定の期間が過ぎたら、その人は自分の事業として独り立ちします。この仕組みを、このページでは「独立支援(卒業型)」と呼びます。以下は特定の事例ではなく、こうした仕組みを契約書に落とすときの一般的な論点の整理です。

契約書の作成で最初に決めるのは、この関係をフランチャイズ(加盟)の契約として組むのか、ブランドを使わせない業務委託の契約として組むのかです。結論を先にまとめると、次の5点になります。

  1. 契約の名前や条文の見出しではなく、中身(ブランドの使用、営業の指導、対価の支払)で性質が判断される。
  2. 初期の支援費を粗利の分配で後払いにするなら、「粗利」の定義が契約書の中心になる。売上から何を引くかを、先に書き切っておく。
  3. 成果を保証しない条項は置けるが、事前に見せる収益の例が誇大なら、条項があっても足りない。
  4. 支援の義務は努力義務か法的な義務かを分け、「独り立ちできる」の判定の基準と手続を条文にする。
  5. 終了後の競業禁止とブランドの使用禁止は、地域・期間・内容を絞って書く。違約金は、民法420条の推定を前提に設計する。

独立支援の契約の、組み方の違い

加盟型(ブランドを使わせる)

  • 清掃会社の商号やブランドを、独立する人が使って営業する
  • 作業の方法、品質の基準、価格の方針を、統一の手順で指導する
  • 加盟金や、売上に応じた金銭を支払う

フランチャイズの定義にそのまま当たる形。募集のときの情報の開示を、特に丁寧に行う。

業務委託型(ブランドを使わせない)

  • 独立する人は自分の屋号で営業し、清掃会社の案件を受託する
  • 経営の判断は独立する人が行い、清掃会社は初期の支援と案件の供給にとどめる
  • 対価は、業務の対価や支援の対価として整理する

契約の名前を変えるだけでは足りない。ブランド、指導、対価の実態が、委託の形に合っているかが問われる。

同じ「卒業型」でも、この二つの間のどこかに位置する設計もあります。以下では、両方に共通する論点と、切替えのときの論点を順に整理します。

フランチャイズに当たるかは、3つの要素の実態で見る

公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」(平成14年4月24日公表、令和3年4月28日改正)は、フランチャイズ・システムを、本部が加盟者に特定の商標や商号などを使用する権利を与えるとともに、加盟者の事業・経営について統一的な方法で統制や指導や援助を行い、その対価として加盟者が本部に金銭を支払う事業形態だと説明しています。そして、この考え方は、呼称を問わず、この定義に当たる事業形態を対象にするとしています。契約書に「フランチャイズ」と書かれていなくても、中身が当たれば対象になるということです。

フランチャイズに当たるかを見る3つの要素
要素見るポイント独立支援の契約での表れ方
商標・商号などの使用の許諾ブランド名、ロゴ、屋号を使って営業させるか独立する人が、清掃会社のブランドの名前で受注し、請求書や名刺にも載せる
営業の統制・指導・援助作業のマニュアル、品質の基準、価格の方針に従う義務があるか清掃の手順書に従う義務、料金表の指定、営業の報告の義務
対価の支払加盟金、支援費、売上や粗利に応じた金銭を払うか初期の支援費、粗利の分配、月々の管理費

この3つが揃うほど、フランチャイズとして見られやすくなります。公正取引委員会の考え方は、フランチャイズ・システムが従来の小売業や外食業だけでなく、各種のサービス業など広い分野で使われるようになっていると述べています。清掃業の独立支援だからといって、対象の外にあるとは言えません。

もう一つ整理しておきたいのは、「フランチャイズ」を直接に規制する単独の法律が一般にあるわけではなく、複数の法令や指針が部分的に関わる、という点です。取引の形に応じて、次の3つを順に確かめます。

フランチャイズ(独立支援)に関わる主な法令・指針
法令・指針内容清掃の独立支援との関係
独占禁止法不公正な取引方法の禁止(19条)。優越的地位の濫用は2条9項5号に定められている公正取引委員会の上記の考え方が、募集時の情報の開示や、契約後の取引条件の問題点を例示している。サービス業にも適用される
中小小売商業振興法特定連鎖化事業を行う者に、契約前の書面の交付と説明を義務づける(11条1項)対象の「連鎖化事業」は、主として中小小売商業者に商品を販売し又は販売をあっせんし、経営の指導を行う事業とされている(4条5項)。小売以外の清掃業の独立支援に、条文の文言どおりに当たるかは慎重に確かめる
特定商取引法連鎖販売取引の規制(33条以下)「連鎖販売取引」は、後から加入する他の者が払う取引料などを利益として得られると誘って、負担を伴う取引をさせる仕組みの定義であり、フランチャイズ全般の届出制度ではない

特に最後の点は、誤解が起きやすいところです。特定商取引法の33条以下は連鎖販売取引の規制であって、フランチャイズ契約一般に届出や書面交付を課す条文ではありません。もっとも、独立した人が新しく加わる人を勧誘して、その人が払う金銭から報酬を受ける仕組みを組み込むと、別の問題が生じます。紹介の報酬を設けるときは、この定義に当たらないかを確かめておきます。条文と所管官庁の資料で、取引の実態に即して確認が必要な領域です。

法律上の義務の有無とは別に、公正取引委員会の考え方は、募集のときに開示しておくことが望ましい事項を挙げています。独立支援の契約で関係が深いのは、次の事項です。

  • 加盟に際して徴収する金銭の性質、金額、返還の有無と条件(支援費や保証金など)
  • 事業活動上の指導の内容、方法、回数、費用負担
  • 定期的に支払う金銭(分配や管理費)の額、算定方法、徴収の時期と方法
  • 本部と加盟者の間の決済の仕組みと条件
  • 契約の期間、更新、解除、中途解約の条件と手続
  • 事業活動上の損失への補償の有無と、経営が不振になったときの支援の有無

これらを契約書の条文と、事前に渡す説明資料の両方に、同じ内容で書いておくことが、後の食い違いを防ぎます。

ブランドを外して業務委託に切り替える構成

加盟型で組むと、募集時の情報の開示や、契約後の取引条件への配慮が重くなります。そこで、ブランドの使用を許さず、独立する人を独立した事業者として業務を委託する形に切り替える設計が考えられます。切替えのときに契約書へ入れる要素は、次の4つです。

確かめる問い(一般的な例):業務委託へ切り替えるときに契約書へ置く4つの要素

  1. 契約の性質を、条文で明記しているか雇用でも、加盟でも、共同事業でもないことを確認する条。ただし、条文だけでなく、実際の運用が合っていることが前提になります。
  2. 経営の判断を、独立する人が行うとしているか営業の方法、価格、稼働日、人の採用と配置などを、独立する人が自分で決めるものとします。
  3. 清掃会社のブランドを、使わない約束になっているか商号、ロゴ、屋号を業務で使わないこと。誤って使ったときの削除と、再発防止の約束まで置きます。
  4. 清掃会社が行う支援は、どこまでか案件の供給、初期の研修、相談への対応などの範囲を書き、手順書への服従や価格の指定などの統制は書かないようにします。

業務委託契約 第◯条(契約の性質及び独立性)

1本契約は、甲が乙に対し、別紙に定める範囲で業務を委託し、及び初期の支援を行うことを内容とする。乙は、独立した事業者として、自己の判断と責任により業務を遂行する。

2本契約は、雇用契約、フランチャイズ契約、代理店契約、組合契約その他これらに準ずる契約関係を成立させるものではない。

3乙は、営業の方法、価格、稼働日、従事者の採用及び配置その他の経営に関する事項を、自己の判断で決定する。甲は、本契約に定める場合を除き、これらについて指示をしない。

4乙は、本契約に基づく業務において、甲の商号、屋号、ブランド、ロゴその他の営業上の標識を使用しない。

条文の見出しや第1項の書き方を整えても、実際にマニュアルへの服従を求めたり、価格を指定したりすれば、実態が優先して見られます。条文と運用を揃えることが、切替えの前提です。

独立する人に対する具体的な指揮命令や、時間の管理がある場合には、フランチャイズの問題とは別に、労働者と見られないかという論点も出てきます。この点は、清掃スタッフとの業務委託のページで整理した5つの手当てが参考になります。

書き方の例(一般的な例) 目的の条

目的条項

よくある書き方甲及び乙は、民泊清掃事業の運営について相互に協力し、事業の発展に努める。
整えた書き方甲は乙に対し、別紙の業務を委託するとともに、乙が自らの事業として業務を行えるよう、定めた範囲の初期の支援を行う。乙は、独立した事業者として業務を遂行する。

「協力して運営する」という書き方は、共同事業や加盟の関係と読まれる余地を残します。委託と支援の範囲、独立性を、目的の段階で明らかにします。

初期支援費を、粗利の分配で後払い回収する設計

立ち上げの支援は、清掃会社にとって先に費用がかかります。一方、独立する人には、まとまった金額を先に払う資金がないことも多くあります。そこで、支援費を独立後の粗利の中から、分配の形で後払いにする設計が考えられます。この設計は、独立する人の負担を軽くする一方で、「いくら回収できたら終わりか」と「何を粗利と呼ぶか」を曖昧にすると、紛争の種になります。

後払い回収の基本の流れ(一般的な例)

  1. 売上独立する人が依頼主から受ける清掃の売上。請求した額か、入金された額かを決める
  2. 直接費の控除スタッフへの報酬、交通費、材料費など、その業務に直接かかった費用を引く
  3. 粗利売上から直接費を引いた額。契約書の定義どおりに計算する
  4. 回収と残り粗利のうち所定の割合を支援費の返済に充て、残りは独立する人のものにする
  5. 終了支援費の総額に達したとき、又は契約が終わったときに精算する

この流れのうち、紛争になりやすいのは「粗利」の段です。売上から引く項目を、契約書で次のように決めておきます。

粗利の定義で決めておく項目
項目迷う点書き方の考え方
売上請求した額か、実際に入金された額か入金された額とすれば、未回収の売上は粗利に入らない。請求額とするなら、貸倒れの扱いを別に書く
スタッフの報酬外注費や、独立する人自身の作業の対価を含めるか従事者への報酬は直接費とする。独立する人自身の取り分は、引かずに粗利の中に残す
交通費・材料費直接費に入れるか、独立する人の自己負担にするか業務ごとに要した実費を直接費に入れるなら、領収書などの証拠の提出を条件にする
キャンセル料売上に含めるかキャンセル料を依頼主から受けたなら売上に入れる。受けられなかったときは、分配の対象にしない
値引き・返金粗利の計算の前に引くか値引き後の額を売上とし、返金した分は、返金した月の売上から差し引く
未回収の売上回収できなかったときの扱い回収できなかった月の分は分配の対象にしない。後で回収できたら、その月の売上に入れる
決済の手数料直接費に入れるか入れるなら、その旨と上限を書く

金額の表示は、消費税の扱いを明記し、売上から直接費までを同じ基準にそろえます。基準がそろっていないと、同じ業務の粗利が人によって違って見えます。

粗利と回収額の計算例(説明用の仮の数字)

売上20万円入金された額
スタッフの報酬−12万円直接費
材料費−1万円領収書で確認できた実費
粗利7万円

回収額=粗利×契約書に定めた所定の割合。たとえば、売上が入金されなかった月は粗利が出ず、回収もされません。

独立する人からの報告も、条文にします。売上の明細と請求書の写しを、毎月の一定日までに提出する義務、事業専用の口座を使う義務を置いておくと、粗利の計算の根拠がそろいます。提出が遅れたときの扱い(遅れた月の分を次の月に繰り越すのか、支援の継続に影響するのか)も決めておきます。

分割や後払いの回収には、期限の利益の考え方が出てきます。期限の利益とは、期限が来るまで支払わなくてよいという債務者の利益のことで、期限は債務者の利益のために定めたものと推定されます(民法136条1項)。法律上、期限の利益を失わせる事由は限られているため(同法137条。破産手続開始の決定、担保の滅失・損傷・減少、担保を供する義務の不履行)、支払の遅れがあったときに残額を一括で請求できるようにするには、契約で喪失事由を書いておきます。

業務委託契約 第◯条(期限の利益の喪失)

1乙が、本契約に基づく支払を遅滞し、甲が相当の期間を定めて催告したにもかかわらず、その期間内に支払をしないときは、乙は、期限の利益を失い、未払の残額を直ちに支払う。

2前項の場合において、乙の申出があり、甲が相当と認めるときは、甲は、残額について分割して支払うことに応じることができる。

「一度でも遅れたら直ちに一括」と書くと、独立したばかりの事業者には過酷になり、後の紛争で争点になりやすくなります。催告と猶予の余地を置いておきます。

契約が途中で終わったときに、支援費の残額をどうするかも決めておきます。選択肢は、残額を一括で支払う、その後も一定の期間は分配を続ける、残額を免除する、の3つです。残額の一括払いや高額な違約金を定めるときは、支援の内容と釣り合う金額になっているかを確かめます。契約後の取引条件が加盟者・受託者に不当な不利益を与えないかは、公正取引委員会の考え方でも優越的地位の濫用の観点から取り上げられている論点であり、個別の記述は原文で確認が必要です。

成果を保証しない条項と、事前に見せる収益の例

独立支援の契約には、「売上や利益を保証しない」という条項を置くのが一般的です。有効な条項ですが、これだけでは足りません。募集のときに収益の見込みを見せるなら、その見せ方が問題になるからです。

業務委託契約 第◯条(成果の非保証)

1甲は、乙に対し、売上、粗利、案件の数その他の成果を保証しない。

2甲が乙に提供する情報、支援及び過去の実績は、将来の成果を示すものではなく、乙は、自己の判断と責任において本業務を行う。

3前二項は、甲が乙に対して、契約の締結前に、重要な事項について事実と異なる説明をしたときの責任を免れさせるものではない。

公正取引委員会の考え方は、予想の売上や収益を示すなら、類似した環境にある既存の事例の実績など根拠のある事実や、合理的な算定方法に基づくこと、そして根拠となる事実や算定方法を示すことが必要だとしています。平均値から作ったモデルの収益や、収益のシミュレーションを見せるときは、モデルであることが分かるように明示し、実際の予想額ではないことを十分に理解してもらうよう求めています。さらに、重要な事項について十分な開示をせず、あるいは誇大な開示をして、実際の内容よりも著しく有利だと誤認させる場合は、不公正な取引方法の一般指定8項(ぎまん的顧客誘引)に当たり得るとしています。

書き方の例(一般的な例) 収益の例を見せるとき

説明資料の書き方

よくある書き方独立後は、月に○万円の粗利が見込めます。
整えた書き方次の前提による一例です。月の件数○件、1件あたりの単価○円、稼働日数○日。実際の結果はこれと異なる場合があり、粗利が出ない月もあります。

前提を示し、一例であることと、実績が出ない場合もあることを書きます。数字の根拠となる実績や算定の方法を、求められたときに示せるようにしておきます。

説明資料の内容と契約書の内容が食い違っていると、どちらが優先するかで争いになります。契約書には、締結前の資料や口頭の説明は契約の内容にならないという趣旨の条(完全合意条項)を置くのが一般的です。ただし、それは資料の内容を契約書に取り込んだうえで使うものです。見積書などの前提資料が締結後にどう扱われるかは、料金・追加料金のページの考え方と同じです。

支援の義務の程度、準備期間と評価期間、「独り立ちできる」の判定

独立支援の契約では、清掃会社がどこまで支援する義務を負うのかが、紛争になりやすい点です。「支援する」とだけ書くと、独立する人は支援を受ける権利があると考え、清掃会社は支援は努力であって義務ではないと考えます。

支援の義務の程度(書き方の3段階)

努力義務

  • 「支援するよう努める」と書く
  • 内容や範囲は、清掃会社の状況に応じて変えられる
  • 支援が不十分でも、直ちに債務不履行にはなりにくい

清掃会社には柔軟だが、独立する人には期待の保証にならない。

特定した義務

  • 研修の回数、同行の日数、相談の対応時間などを特定して書く
  • 果たさなかったときの扱い(延長や減額)も書く
  • 独立する人が支援を受ける権利が明確になる

支援の対価を求めるなら、この書き方が整合しやすい。

任意の提供

  • 「提供することがある」と書く
  • 義務を負わず、いつでも変更・終了できる
  • 対価をとる支援とは、整合しにくい

対価の回収とは両立しにくいので、組み合わせに注意する。

支援の対価として費用を回収するなら、支援の内容が曖昧すぎると、「何に対する費用か」が説明できなくなります。

次に、期間の区切りを決めます。契約の期間の中に、準備の期間と評価の期間を分けておくと、起算点が明確になります。準備の期間は、研修を受けたり、道具をそろえたり、集客の準備をしたりする時期で、粗利の計算や分配の対象にしません。評価の期間は、粗利が実際に出て、分配や支援費の回収が始まる時期です。それぞれの始まりと終わりの日を、日付か「契約の締結から○か月」の形で条文に書きます。

最後に、「独り立ちできる」の判定です。支援を終えて独立する時期を、誰が、何を基準に決めるのかを決めておきます。

確かめる問い(一般的な例):「独り立ちできる」の判定で決めておく点

  1. 判定の基準は、客観的な指標になっているか受注の件数、稼働日数、品質の苦情の数、報告書の提出状況など、数えられるものを使います。「十分な技量があると認めたとき」のような抽象的な基準は、争いになります。
  2. 誰が、いつ判定するのか清掃会社だけが決めるのか、双方の協議で決めるのか。時期は、評価の期間の終わりか、途中の節目かを決めます。
  3. 判定の結果、何が変わるのか支援の終了、分配の割合の変更、競業禁止の開始など、結果を条文に結びつけておきます。
  4. 判定に異議があるとき、どうするのか協議の手続と期間を置き、話し合いで解決しないときの扱いも書きます。

判定を清掃会社の一方的な判断に任せる書き方にすると、独立する人の側に不利な変更を一方的に行えることになります。公正取引委員会の考え方は、本部が加盟者に、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることを、優越的地位の濫用の問題として挙げています。判定の基準と手続は、双方が納得できる形にしておきます。

終了後の競業禁止・ブランドの使用禁止・違約金

独立支援は、独立させることが目的の仕組みです。それなのに、契約が終わった後に独立した事業を禁じてしまうと、目的と矛盾します。そこで、終了後の制限は、清掃会社が守りたいものに絞って書きます。

公正取引委員会の考え方は、契約終了後の競業禁止について、特定の地域で成立している本部の商権の維持や、供与したノウハウの保護などに必要な範囲を超えるような地域、期間又は内容の競業禁止義務を課すことを、優越的地位の濫用の例に挙げています。また、期間の定めがない制限や、過度に広い制限は、公序良俗に反して無効とされるおそれがあります(民法90条)。

終了後の制限の範囲の決め方
項目広すぎる書き方絞った書き方
地域全国、又は地域の定めなし支援の対象となった物件や取引先がある区域、又はその周辺に限る
期間期間の定めなし、又は長期間支援で得た情報の価値が残る範囲の、一定の期間に限る
内容清掃に関する一切の事業支援で得た情報を使った競合する事業、支援の対象となった取引先との取引に限る
人材従事者への一切の勧誘清掃会社が育成に関わった従事者に、積極的に働きかけて離脱させる行為に限る

ブランドの使用禁止は、業務委託型でも加盟型でも置く条です。終了後は直ちに使用をやめること、看板、名刺、請求書、SNSの表示を撤去する期限、残っている販促物の扱いを書きます。

違約金は、民法420条が定めています。当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができ(1項)、賠償額の予定は、履行の請求や解除権の行使を妨げません(2項)。そして、違約金は、賠償額の予定と推定されます(3項)。違約金を超える損害があるときにその賠償も求める書き方にしたいなら、違約金が賠償額の予定ではなく違約罰であることを契約で明らかにしておくことが考えられます。そのように書いても、金額が事業の規模に比べて過大なときは、過大な部分が公序良俗に反して無効とされる可能性が残ります。

業務委託契約 第◯条(契約終了後の制限)

1乙は、本契約の終了後○か月の間、甲が本契約に基づく支援を通じて乙に開示した情報を用いて、甲が受託する別紙の取引先から、同種の業務を直接受託してはならない。

2乙は、本契約の終了後直ちに、甲のブランド等の使用をやめ、○日以内に、看板、名刺、請求書その他の表示から、これを撤去する。

3乙が前二項に違反したときは、甲に対し、違約金として○円を支払う。この違約金は、損害賠償額の予定とする。

制限の期間・地域・内容は、守りたいものに合わせて絞ります。違約金の額は、事業の規模や支援の内容と釣り合うかを確かめます。

契約が終わった後に清掃会社が継続して対価を請求できないことも、条文で明確にしておくと、独立の実態が保たれます。契約の期間中に限って支援費や分配を受け、終了後は、既に生じた分を除いて、継続的な対価を請求しないとします。損益は独立する人に帰属し、清掃会社は利益の分配を受けず、損失も負担しないとする条も、共同事業と見られないようにするために置きます。

独立後の働き方は、清掃スタッフとの業務委託の論点と重なります。独立する人が元請けの下で受ける形になるなら、再委託と多層構造、賠償責任の上限と保険は損害賠償と保険のページも合わせて確かめます。これから事業を始める側の最初の準備は、民泊清掃の開業・始め方で扱っています。

よくあるご質問

独立支援(卒業型)の契約は、フランチャイズ契約になりますか?

契約の名前では決まりません。ブランドの使用の許諾、事業の統制や指導、対価の支払の3つの実態がそろうほど、フランチャイズとして見られやすくなります。公正取引委員会の考え方は、呼称を問わず、この定義に当たる事業形態を対象にしています。

業務委託にすれば、フランチャイズの規制は関係なくなりますか?

いいえ。契約の形を変えても、ブランドの使用、手順書への服従、価格の指定、対価の支払といった実態が加盟の形なら、評価は変わりません。切替えるなら、条文だけでなく、運用も委託の形に合わせます。

初期の支援費を後払いにするとき、最も大事な条は何ですか?

「粗利」の定義です。売上を請求額と入金額のどちらで見るか、スタッフの報酬、交通費、材料費、キャンセル、値引き、未回収をどう扱うかを書き切っておきます。あわせて、中途で契約が終わったときの残額の扱いを決めます。

「収益を保証しない」と書いておけば、収益の例を見せても問題ありませんか?

いいえ。収益の見込みを示すなら、根拠のある事実や合理的な算定方法に基づくことが必要で、モデルの収益ならそのことを明示します。誇大な説明は、非保証の条項があっても問題になり得ます。

契約が終わった後の競業禁止は、どの程度まで書けますか?

守りたいもの(支援で得た情報、支援の対象となった取引先、育成に関わった従事者)に必要な範囲の地域、期間、内容に絞ります。範囲が広すぎると、公序良俗に反して無効とされたり、優越的地位の濫用として問題になったりするおそれがあります。違約金は、民法420条3項で賠償額の予定と推定されることを前提に書きます。

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